「名字」と「苗字」は「全く同じ意味を持つ言葉」です。違いは、「常用漢字」か「常用外漢字」かです。
迷ったら、常用漢字の「名字」を使えば間違いありません。
違い | 使い分け | |
名字 | 常用漢字 |
常用漢字を使わないといけない時に使われる
|
苗字 | 常用外漢字 | 私的な手紙やメールなど、常用漢字を使う必要がない場面で使われる |
より詳しい説明を知りたい方は、この記事の下で解説していますので、ぜひ読んでみてください。
「名字」と「苗字」の違いは常用漢字かどうか!
- 「名字」:常用漢字
- 「苗字」:常用外漢字
公用文書や教育現場では、常用漢字しか使えません!
そのため、学校のテストで常用外漢字を使ってしまうと不正解になってしまうため、注意が必要です。
「名字」と「苗字」の違いとは?
読み方
名字・・ みょうじ
苗字・・みょうじ
意味は同じ
意味は同じ | |
名字 | 家の名のこと |
苗字 |
「名字」と「苗字」生まれた時代と由来の違い
生まれた時代の違い | 由来の違い | |
名字 | 平安時代 | 地域・所有地 |
苗字 | 江戸時代 | 血縁に由来 |
「名字」が生まれたのは平安時代
「名字」は平安時代、土地にちなんでつけられていました。当時の武士が所有していた土地「名田(みょうでん)」から生まれた言葉です。
- 伊賀(三重県)の藤原氏➡︎名字は「伊藤」
「苗字」が生まれたのは江戸時代
「苗字」は江戸時代に生まれました。「苗」には「子孫」という意味があり、「自分の家が代々続きますように」という願いを込めて、「苗字」をつけるようになりました。
ただし、江戸時代に苗字を名乗ることができたのは、武士や公家などの特権階級のみでした。
明治時代になり、国民を戸籍で管理するようになったことで、政府が「平民苗字許可令」を出しました。それによって、一般庶民も「苗字」を持てるようになりました。
「名字」と「苗字」の歴史:サマリー
- 平安時代に「名字」が生まれる
- 江戸時代に「苗字」が生まれる:「名字」➡︎「苗字」へ
- 明治3年に政府が出した「平民苗字許可令」によって、一般庶民も「苗字」が使えるようになった
- 昭和21年の「当用漢字表」から「苗」の読み方として「みょう」が削除「苗字」➡︎「名字」へ
使い分け:主に使われていた言葉 | ||
平安時代(794〜1185年) |
誕生 |
名字 |
鎌倉時代(1185年〜1333年) | 名字 | |
室町時代(1336〜1573年) | 名字 | |
戦国時代(1467〜1603年) | 名字 | |
江戸時代(1603〜1868年) | 誕生 | 名字➡︎苗字(武士や公家などの特権階級のみ) |
明治時代(1868〜1912年) | 明治3年(1870年)政府が平民苗字許可令を出した | 苗字(一般庶民も苗字を持てるようになった) |
大正時代(1912年〜1926年) | 苗字 | |
昭和時代(1926年〜1989年)以降 | 昭和21年(1946年)告示の「当用漢字表」から「苗」という漢字の「みょう」という読み方が削除 | 苗字➡︎名字 |
「名字」と「苗字」の使い分け
上の一覧表で「名字」と「苗字」の歴史を説明した通り、「令和」の現在も「当用漢字表」を引き継いだ「常用漢字表」で「名字」に統一されています。
迷ったら「名字」を使えば間違いありません。また、学校のテストや公文書で「苗字」を使ってしまうと、逆に間違いになってしまいます。
使い分け | |
名字 |
常用漢字を使わないといけない時に使われる
|
苗字 | 私的な手紙やメールなど、常用漢字を使う必要がない場面で使われる |
「名字・苗字」と「姓」の違いは?
「名字・苗字」と同じ意味を持つ言葉として「姓」があります。意味に違いはありませんが、由来に違いがあります。
意味は同じ
意味は同じ | |
名字・苗字(みょうじ) | 家の名のこと |
姓(せい) |
由来の違い
「姓」はもともと天皇から認められた証を表す称号で、この「姓」がないと朝廷の役職につくことができませんでした。
違い | |
名字 | 地域・所有地に由来 |
苗字 | 血縁に由来に由来 |
姓 | 天皇から与えられた称号の一つ |
サマリー
- 「名字」と「苗字」は「全く同じ意味を持つ言葉」
- 違いは、「常用漢字」か「常用外漢字」か。
違い | 使い分け | |
名字 | 常用漢字 |
常用漢字を使わないといけない時に使われる
|
苗字 | 常用外漢字 | 私的な手紙やメールなど、常用漢字を使う必要がない場面で使われる |
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