「すごく腹が立つことがあったの」
寝起き早々、母からの電話。
また愚痴か…と身構える。
体はこわばり、無意識に心のシャッターを下ろそうとする私。
上手に聞き流せますように…
「ウクライナの戦争が始まって4年になるでしょ」
戦争の話は、朝から聞きたくない。
でも、話は続く。
「ウクライナの民間人の生活を取材した番組をやっていて、
74歳の女性の日常が紹介されていたの」
悲惨な話は、聞きたくない。
母は、そんな私にはお構いなし。
聞き流そうとしたその時、母のボルテージが上がった。
「番組がその人を『このおばあさんは』って紹介したのよ!
失礼しちゃう!」
…えっ、そこ?
母も74歳。
「お姉さんとは呼べないよね」と突っ込む私に、
母はご立腹。
「別の言い方があるでしょ!」
試しに40代の自分に置き換えてみた。
テレビで「このおばさんは…」と紹介されたら。
…うん。
ブチ切れるわ。失礼すぎる。
私が全力で共感した瞬間、母は「そうでしょ!」と大爆笑。
さっきまでの怒りはどこへやら、
急に上機嫌で電話は切れた。
私は子供の頃から、
この激しい感情ジェットコースターに無理やり同乗させられて、
勝手に酔って、消耗していたんだな。
放っておくことにしよう。