心の探究

灰色の空を抱きしめて

スーパーの吹き抜けホールに並ぶ、
木の長椅子に座っていた。

買い物袋を足元に置いたまま、
ぼんやり人の流れを見ていたら、
少し離れた椅子に、
中学生くらいの女の子がひとり座っていた。

制服の袖をぎゅっと握って、
スマホも見ずに、うつむいたまま。

人はたくさんいるのに、
その子の周りだけ、
静まり返っているみたいだった。

その横顔を見た瞬間、
中1の秋、
学校に行けなくなった頃の自分を思い出した。

朝も夜も区別がつかないくらい、
カーテンを閉めたままの部屋。

布団の中で、
「どうして私だけ」と何度もつぶやいていた。

スマホもなくて、
同じ気持ちの誰かを探すこともできなかったあの時間。

世界はずっと、灰色だった。

でも今、あの頃の自分を思い出すと、
不思議と、責める気持ちはない。

ただ、
よく耐えていたな、と思う。

あの子の背中を見ながら、
もし言葉をかけるなら、
何を言うだろうと考えた。

たぶん、大きな励ましは出てこない。

ただ、
隣に座って、
同じ方向を見ているかもしれない。

初出:X@hanahanahealing